タクシードライバーの高齢化が進んでおり、特に70代以上のドライバーが増加しています。事故を防ぐ観点からも、健康管理や運行管理の強化、IT機器の導入などの対策が求められています。今回は、タクシードライバーの高齢化に伴う問題と、その解決策について解説します。
タクシードライバーの高齢化の現状
タクシードライバーの高齢化が進行しています。特に法人タクシー業界では、若い世代のドライバーが少なく、年齢が上がるにつれてドライバー数が増加しています。
内閣府の調査によると、20代から30代のタクシードライバーは全体の5%以下にとどまっています。これに対し、70歳から74歳のドライバーが全体の約2割を占め、最も大きなボリューム層となっています。続いて、65歳から69歳のドライバーも約2割を占めています。
さらに、75歳以上のドライバーも全体の約1割弱を占めており、年齢層の高いドライバーが多いことが分かります。
出典:内閣府「タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ」
タクシードライバーの高齢化で起こり得る問題
タクシードライバーの高齢化が進む中、さまざまな問題が浮き彫りになっています。特に身体機能の低下がもたらすリスクが注目されています。
年齢を重ねることで、視力や反応速度の低下が生じ、事故を起こしやすくなる傾向があります。
自分の運転に自信を持つ高齢ドライバーも多いですが、その自信が事故を回避できるとは限りません。警視庁の調査によると、2023年の高齢ドライバーによる事故件数は4,819件であり、全体の15.4%を占めています。
また、国土交通省の調査では、2022年の全国で発生した交通事故は300,839件との報告があり、そのうち事業用自動車による事故は23,259件発生しています。タクシー業界における高齢ドライバーの増加は、今後も事故リスクの要因として注視されるべき問題です。
出典:
警視庁「防ごう!高齢者の交通事故!」
国土交通省「事業用自動車の交通事故統計(令和4年版)」
タクシードライバーの高齢化の対策
ここでは、タクシー業界の高齢化対策について詳しく解説します。
健康管理
タクシードライバーの健康管理は、業界全体で厳重に行われています。特に65歳以上のドライバーは、国土交通省の告示に基づいて適齢診断を受ける必要があります。加齢による健康リスクを把握し、事故の防止を図るための対策です。
すべてのドライバーは雇用時や毎年、定期的に健康診断を受けることが義務付けられています。これにより、身体的な問題を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。
運行管理
タクシー会社では、ドライバーの乗務前に点呼を行い、健康状態や体調の確認を行っています。ドライバーが安全に業務を遂行できるかを判断するために重要なものです。
また、運行管理システムによって、運転中の状況を監視し、問題が発生した場合に迅速に対応する体制を整えています。
IT機器の導入
近年、タクシー業界では安全運転をサポートするための先進的なIT機器の導入が進んでいます。例えば、衝突回避軽減ブレーキや車線逸走警報装置、自動切り替え前照灯、ペダル踏み間違い時の加速抑制装置など、さまざまな装置がドライバーをサポートします。
これらの装置によって、運転ミスを減らし、安全な運行を支える環境が整備されていれば、タクシードライバーとして長く働くことが可能です。
まとめ
タクシードライバーの高齢化が進む中、安全面での課題が浮き彫りになっています。特に視力や反応速度の低下がもたらすリスクが問題視されています。健康管理や運行管理の強化、さらにはIT機器の導入など、さまざまな対策が講じられています。
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