タクシー業界には多くの隠語が存在すると聞き、気になって調べた方も多いのではないでしょうか。今回は、業界で使われる理由と代表的な隠語を解説します。
タクシー業界に隠語が多い理由は?
タクシー業界に隠語が多い背景には、日々の運行で必要とされるスピード感、乗客への配慮、法的なルール、そして乗務員同士の文化があります。まずは、その根拠となる理由にをみていきましょう。
業務の効率化
タクシー業界で隠語が重宝される大きな理由は、運転中の無線連絡を短く、正確に行うためです。
タクシーの業務は運転しながら多くの情報を瞬時に処理することを求められます。無線のやり取りに長い説明を使ってしまうと、運転に支障が出るだけでなく、他のドライバーとの連携にも遅れが生じてしまいます。
そのため、業界では「短い言葉で状況を伝える仕組み」として隠語が発展しました。こうした短縮表現は、営業中の安全確保と効率化の両立に役立っています。
乗客への配慮
タクシーの無線は、乗客にも聞こえる場合があります。
そのため、ドライバー同士が乗客の情報をそのまま口にすると、不快感を与えたり、状況によっては不安を与える恐れもあります。
そこで用いられるのが隠語です。隠語を使えば、乗客に余計な心配をかけずに状況を共有できます。
「少し特徴のあるお客様」「混雑が続きそう」など、本来は乗客に直接聞かれたくない情報を、業界独自の言い回しで柔らかく伝える工夫が積み重なり、独特の慣習として定着してきました。
法的規制
タクシー無線には、電波法に基づく厳密なルールがあります。
無線はあくまで「配車や運行管理」のために使用することが定められており、私語や必要以上の情報交換を行うと違法となる可能性があります。
そのため、ドライバー同士でコミュニケーションを取る際は、短く簡潔な表現が求められ、隠語が自然と多用されるようになりました。
長い説明をするよりも「短いキーワードで要点を伝える」方が規制の観点からも安全なのです。
仲間意識の醸成
タクシー業界は、深夜勤務や長時間の運転など、体力・精神力が求められる場面が多い仕事です。
こうした環境を乗り越えるため、ドライバー同士の連帯感やユーモアが生まれ、隠語という独自の文化につながりました。
隠語は単なる短縮表現ではなく、「同じ仕事をする仲間同士の合図」としての側面も持っています。
互いに苦労を理解し合う空気感が、独自の言葉を生み出し、それが長年受け継がれているのです。
タクシー業界の主な隠語10選
ここからは、実際に業界で使われている代表的な隠語を紹介します。意味と使われ方を知ることで、タクシー業界の空気感や働くイメージが、よりつかみやすくなるはずです。
おばけ
「おばけ」とは、意外な時間帯や場所から乗車し、長距離利用してくれるお客様を指す言葉です。
「この駅はおばけが出るよ」といったように使われ、思わぬタイミングで売上げにつながるありがたい存在とされています。
ゾンビ
「ゾンビ」は、イベント終了直後や金曜深夜など、タクシーが不足している時間帯に道路でタクシーを探す乗客を表す隠語です。
多くの人が道沿いに手を上げて動き回る様子が、まるでゾンビのように見えることから生まれました。
大きな忘れ物
「大きな忘れ物」は、警察がタクシードライバーへ向けて使うことのある表現で、逃走中の重大犯罪者を指す隠語です。
「本日の午前〇時頃、○○付近で大きな忘れ物がありました」という無線を聞いた場合、犯人がその周辺でタクシーを利用した可能性があることを伝えています。
これは、
・ドライバーの安全確保
・目撃情報の収集
・犯人捜索の強化
などを目的とした重要な合図となっています。
カバンの忘れ物
これは、不審な乗客を乗せた際にドライバーが発する緊急の合図です。
「問題のある乗客が乗っている」と直接言うわけにはいかないため、隠語で状況を共有します。
てんぷら
「てんぷら」とは、4人組で乗ったにもかかわらず1,000円以内の近距離で降りてしまうケースを表します。
一見忙しそうでも売上げが伸びないことから、この名称がつけられています。
ゴミ
「ゴミ」は、短距離のお客様を指す隠語です。
売上げにはつながりにくいものの、日々の積み重ねが仕事であるという意味合いも含まれています。
エントツ(煙突)
「エントツ」は、乗客を乗せているのにメーターを入れず、料金を着服する不正行為を指します。
業界ではもちろん厳しく禁止された行為であり、警戒の意味で用いられる言葉です。
上(うえ)、下(した)
「上」は高速道路、「下」は一般道路を意味します。
無線連絡で「上で行きます」「下で向かいます」など短く使われ、経路確認をスムーズに行うための言い回しです。
ロング
「ロング」は、長距離移動のお客様を指す言葉です。
タクシーにとって売上げに直結するため、ドライバーにとって非常にうれしい存在です。
0番地(ゼロばんち)
「0番地」とは、火葬場や霊安室を指します。
長年の慣習として受け継がれた隠語で、配慮のために直接的な名称を避けているとされています。
まとめ
タクシー業界には、効率化や配慮、法的な理由から数多くの隠語が存在しています。これらを知ることで、業務の流れや業界の文化がより理解しやすくなり、仕事を検討する際の判断にも役立ちますよ。


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